現存する最古の紙は、1986年に中国で発見された放馬灘紙です。2、100年以上前に製造されたとされるこの紙は麻製であり、麻製織物の廃物である破布が原料に用いられたと考えられています。
放馬灘紙以降の製紙原料は、19世紀中頃にヨーロッパで木材を工業的にパルプ化する方法が発明されるまで、世界中で非木材繊維が製紙原料として利用されていました。
日本においても、楮、雁皮などの靭皮繊維が古くから製紙原料として使用されており、正倉院所蔵の702(大宝2)年の戸籍断簡の原料に楮と雁皮が確認されています。