1. 収穫(Harvesting)
 みつまた枝の刈り取りは11月下旬から翌年4月頃に行われ、2~3年目の枝が刈り取られます。

2. 蒸し(Steaming)
 刈り取った枝を水蒸気で約3時間蒸した後、製紙原料となる皮を剥ぎ取ります。剥ぎ取った皮を生皮、乾燥したものを黒皮と呼びます。生木の枝に対し、黒皮の歩留まりは約20~25%です。残りの木質部は、燃料に用いられる他、生け花の材料などに使われます。

3. 白皮(White bark)
 生皮及び黒皮を水に浸けて柔らかくして、表皮、甘皮及びきょう雑物を取り除いたものが白皮(Photo. 1)です。黒皮に対する白皮の収率は約40%です。

4. 蒸解(Pulping)
 みつまたの白皮は、木材と比較してリグニンが少なくペクチンが多いため、蒸解工程ではペクチンの除去が重要になります。このペクチンは、アルカリ溶液で熱することによって溶解するため、パルプ化は比較的容易です。
 一般に小規模な製造の場合には常圧蒸解、大量に製造する場合には地球釜等を用いた加圧蒸解が行われます。常圧蒸解の温度は95~100℃、加圧蒸解は100℃以上になります。蒸解用のアルカリ試薬には、ソーダ灰、苛性ソーダの他石灰等が用いられます。

5. 紙料処理と抄紙(Stock preparation and papermaking)
 蒸解したみつまたパルプは、洗浄工程で溶解成分を除去した後、除塵、叩解、漂白などの工程を経て紙が製造されます。

6. 繊維と柔細胞(Fibre and Parenchyma cell)
 みつまたパルプには、繊維(Photo. 2)に混じって非繊維細胞である柔細胞(Photo. 3)が多く含まれます1)。柔細胞には、直径数10 μmの円形のものと、やや大きめの楕円形のものの2種類があります。これらの柔細胞は、紙層中で乾燥してフィルム状となり、繊維ネットワーク間で結合を形成してみつまた紙の物性を特徴付ける要因となります。

1)Naoichi Muto:JAPAN TAPPI JOURNAL, 76(4)、381-387(2022)