A. 機械パルプ(Mechanical pulp)
機械的にすりつぶして繊維を解繊したものが機械パルプ(Mechanical Pulp)です。木材から工業的に製造された最初のパルプです。熱を加えてすりつぶしたものがサーモメカニカルパルプ (Thermo-mechanical pulp)です。
物理的な力で処理方法するため、繊維がダメージを受けて用紙強度は低くなります。中間層膜(Middle lamella)のリグニン(lignin)の大部分が分解除去されずに残るため、収率は高くなりますが白色度は低くなります。
機械パルプは、低コストで不透明性が高いことから、新聞用紙の原料などに用いられます。
B. 機械パルプの発明(Invention of mechanical pulp)
フランスの科学者レオミュール(Réaumur)は、スズメバチが木材繊維を材料として紙に似た巣を作ることから、1719年に木材が製紙原料になると考えました。当時のヨーロッパでは、製紙原料に破布が使われていました。
その後、100年以上の年月を要しましたが、19世紀中頃にドイツのハイデンハイムでJohann Matthäus Voithにより砕木機(wood grinder)が開発され、木材を原料とした機械パルプの量産製造が始まりました。