紙の製造工程は大きく分けて、(1)原料から繊維を取り出すパルプ化(pulping)、(2)精選(screening)、(3)叩解(beating)、(4)抄造(paper machine)、(5)仕上(Finishing)の工程に大別されます。
パルプ化方法は、(i)機械的方法(Mechanical pulping)と(ii)化学的方法(Chemical pulping)に大別されます。機械的方法によって取り出された繊維の集合体が機械パルプ、化学的方法によるものが化学パルプです。いずれも、19世紀に発明された近代的なパルプ化方法です。それまでの製紙原料には麻や綿のぼろが使用されていましたが、これらのパルプ化方法の発明により、木材のパルプ化が可能になりました。紙は当時、情報伝達手段を担う最も重要なメディアであり、木材を原料とした紙の大量生産は文明の発展に大きく貢献しました。
非木材のパルプ化では、強アルカリの薬品や高温高圧条件を必ずしも必要としませんが、化学的パルプ化方法は非木材原料にも有効なパルプ化方法です。