1. サイザル麻(Sisal)
サイザル麻(Agave sisalana)は、キジカクシ科リュウゼツラン属の多年生草本植物です。葉から繊維を採取するために栽培されます。
メキシコのサイザル(Sisal)港から繊維が出荷されたことから、サイザルの呼び名が付いたとされています。テキーラの原料として有名なアガベ・テキラーナ(Agave Tequilana) 1)と同じく、生涯で1回だけ開花して結実すると枯れることで知られています。原産地はメキシコから中米とされ、熱帯、亜熱帯の比較的乾燥した地域で栽培されます。2022年の世界のサイザル麻生産量は約20万 tです。最大の生産国はブラジルで、アフリカ、中国、ハイチ、メキシコ等でも生産されています。
繊維は地面から束になって生育する剣状の葉から採取されます。葉は剛直で1~1.8 mの長さになります(Fig. 1)2,3)。苗を植えて4~7年目から、外側の水平になった葉が収穫されます。
サイザル麻の繊維は耐久性があるため、ロープ等の原料に用いられます。製紙原料としては、銀行券(Banknote)やたばこの巻紙のなどに利用されています。
ブラジルにおいては木材繊維とブレンドした用紙物性の研究4)、タンザニアではサイザル繊維製造時に発生するくずをパルプ化する研究が行われています5)。
1)Toshiro Kurita, Shigenobu Mitsuhashi, Hisaaki Knnetsuna, Masatoshi Iguchi, Tadashi Shirota, Trujillo J.J., Herrera T.: Pulping and Papermaking Properties of the Leaf Fiber and Fibrous Residue from Agave Tequilana, , JAPAN TAPPI JOURNAL, 36(2), 301(1982)
2)Morimoto, M.:Kankyo no 21seiki ni Ikiru Himokuzai Shigen(Non-wood Fibres in the 21st century of the Environment), Unishuppan Co.(1999)
3)Hisashi Daikubara, Tadashi Kamemori: Paper-making Characteristics of Bast Fibers, JAPAN TAPPI JOURNAL, 26(10), 486(1972)
4)PEGO, M. F. F.; BIANCHI, M. L.. Blended paper: physical, optical, structural, and interfiber bonding analysis. CERNE, v. 27, e-102944,2021
5)Mtweve Bosco, Ekael Mbise, Rwaichi J. A. Minja: Production of Paper Pulp Using Sisal Fiber Waste from Sisal Spinning Processes, Tanzania Journal of Engineering and Technology, Vol. 41 (No. 1), June 2022