1. アブラヤシ(Oil palm)
ヤシ科(Arecaceae )アブラヤシ属の実からパーム油を得るために栽培される植物です。原産地は西アフリカで熱帯地方で育ちます。学名はElaeis guineensisです。パーム油は食用油や石鹸などいろいろな用途に用いられ、世界で最も多く使用されている植物油です。パーム油生産量は年々増加しており主な生産国はインドネシアがとマレーシアです。2020年度の生産量は、インドネシア約4,500万t、マレーシア約1,800万tで、この2か国で世界の生産量の大部分を占めます。
アブラヤシの実からパーム油を搾油する際に、副産物としてパーム油と同程度の重量の空果房(Empty Fruit Bunch)が発生します。EFB(Empty Fruit Bunch)には植物繊維が多く含まれるため、製紙利用が試みられています。
2. インドネシアにおける実証調査(Verification survey in Indonesia)1)
インドネシアではEFBが年間4,900万t(2021年)発生し、その内3割が肥料化されますが多くが未利用とされています。EFB廃棄物による紙パルプ製造事業に関する普及・実証事業が行われており、EFBから各種処理条件で得られた機械パルプについて、製紙原料として利用するための研究開発がなされています1)。
3. 世界最初のマレーシアのアブラヤシ原料製紙工場(The world's first oil palm-based pulp and paper mill in Malaysia)2)
EFBを原料とした世界で最初の製紙工場が、FRIM(Forest Research Institute Malaysia)により2003年にマレーシアで立ち上げられています。EFB はNaOHを用いてパルプ化されます。
3. バイオリファイナリーに関する研究(Research on biorefinery)3)
近年の研究として、アブラヤシ空果房(EFB)のバイオリファイナリーに関する研究があります。
1) Japan International Cooperation Agency, Consortium of PIC Co., Ltd and TAIZEN Co., Ltd: Verification Survey with the Private Sector for Disseminating Japanese Technologies for “Producing Paper Pulp from Empty Fruit Bunch” December, 2022
2) Pooja Singh, Othman Sulaiman, Rokiah Hashim, Leh Cheu Peng, Rajeev Pratap Singh: Using biomass residues from oil palm industry as a raw material for pulp and paper industry: potential benefits and threat to the environment, Environ Dev Sustain. 15, 367-383
3)Agusta Samodra Putra, Akiko Nakagawa-izumi, Mikio Kajiyama, Hiroshi Ohi: Biorefinery of Oil Palm Empty Fruit Bunch by Nitric Acid Prehydrolysis Soda Cooking.